2008年02月12日

インフルエンザに対するお薬の話

インフルエンザが流行っていますが、皆様はお元気ですごされているでしょうか。
つい先日は(2月9日)は大変な雪が降り、子どもたちは久しぶりに積もった雪で
楽しく遊んだのではないでしょうか。

さて、今回はインフルエンザのお薬の中でも最近使われ出している、漢方薬「麻黄湯(まおうとう)」についてです。
漢方薬自体あまり処方しないという医師も多くいます。
漢方薬がどうして病気に効くのか分からない、苦くて子どもには飲ませにくい、
また、患者様にも「漢方薬というと徐々に効果が出てくるもので、
急性の疾患には効かないのではないか」というお考えの方が多いのではないでしょうか。

しかしご存じの方も多い「葛根湯」は風邪の際に飲む漢方薬です。
飲むとすっと楽になる方も多いでしょう。
漢方薬の中にも即効性のある薬もあるのです。

前置きが長くなりました。
インフルエンザのお薬として、リレンザ、タミフルという薬剤がありますが、
異常行動などの報告で使用制限(因果関係は不明ですが)があったり、
「自分の子どもに飲ませるのはちょっと、、、。」
とお考えの保護者の方も多いと思います。
「昔は薬を飲まなくても治っていたのだからこのままでも」
「でも何かお薬があれば」
そんな時にインフルエンザに対して効果があると報告された漢方薬が
「麻黄湯」です。タミフルやリレンザのように効果がきっちりと認められてはいませんが、
臨床的には有効性が高いと思われます。副作用についても重大なものは
報告されていません。

服用の際に漢方独特の臭いがあるために飲みにくいお子さんがいらっしゃると思いますが、
麻黄湯に味の良い他のお薬を混ぜることでだいぶ飲みやすくなります。
また、漢方薬自体は何に混ぜても効果が変わりませんので、お水やジュース、ゼリーなどに混ぜても
大丈夫です。ミルクや牛乳に混ぜるのは避けた方がよいでしょう。万一ミルク、牛乳嫌いになってしまうと
困ってしまいますので…。

2007年12月27日

ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット

インフルエンザが例年より早く流行をしていますが、それに関連して
咳エチケットということばをご存知でしょうか?

今期から厚生労働省がインフルエンザの感染拡大を防ぐためにはじめた呼びかけです。同省では今年度(平成19年度)のインフルエンザ総合対策において
「ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット」
という標語をかかげています。その中で咳エチケットをキーワードとした普及啓発活動を行い、マスクの着用や人ごみにおいて咳をする際の注意点を呼びかけています。
具体的には
 
・咳、くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
・呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
・咳をしている人にはマスクの着用を促す。
・マスクの着用は説明書をよく読んで、正しく着用する。

ことがあげられています。

インフルエンザウィルスは飛まつ(咳をしたときにでる微小なつばなどのしぶき)の中に多量にいて、ウィルスだけが空気中に漂っている場合は、マスクをしていても通過しますが飛まつの大部分はマスクで防ぐことができます。
咳をしている人は周りの人にうつさないようにマスクをするようにしましょう。
また、インフルエンザにかかっていない人でも流行している時期にはマスクを着用することで感染を予防する効果があると考えられます。

インフルエンザにかかった場合には発症から48時間以内に抗インフルエンザウィルス薬の服用を開始すると発熱期間が1~2日間短縮され、ウィルス排泄量も減少します。
抗インフルエンザウィルス薬のなかでタミフルについて、これまで10歳以上の未成年の異常行動による死亡事例などが報告されています。このような死亡事例については現在のところ、タミフル服用と異常行動による個々の死亡例との因果関係については否定的であり、突然死についても同様に因果関係は否定的とされています。しかし、予防的な措置として10歳代の小児・未成年者にタミフルの使用を差し控える旨が指示されています。

タミフルを服用していない場合でも、インフルエンザに罹患した場合異常行動が一定程度の確率ででることがあるため、発症後少なくとも2日間は小児・未成年者が1人にならないように配慮することが大切です。

インフルエンザにかかった場合、発症から3~7日間はウィルスを排出すると言われています。ウィルスを排出している間は、患者は感染力があるといえます。排泄されるウィルス量は解熱とともに減少し、排出期間の長さには個人差があります。完全な解熱が認められるまでは外出は控えた方が良いでしょう。
学校保険法では、インフルエンザ罹患の場合は解熱後2日を経過するまで学校の出席を停止すると定めています。

インフルエンザワクチンの接種は日本における研究では、65歳以上の健常な高齢者については、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。小児については、1歳以上で6歳未満の幼児では発病を阻止する効果は約20~30%で、1歳未満の乳児では対象症例数が少なく、効果は明らかでなかったという報告があります。

流行期に入ってもワクチンの効果はあるといわれていますが、ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を
要するため、12月中旬までに接種を受けることが望ましいといわれています。



今年も残り少なくなりました。
皆様が健康に新しい年を迎えられますように。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2007年07月06日

水いぼ

○伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)とは?
伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の感染により生じます。
感染は接触感染により、皮膚に微小なキズがあったときMCVが体内に侵入して皮膚に感染を生じます。感染を生じてからイボが目に見える大きさに育つまでの潜伏期間が約1ヶ月間あります。 
 症状としては、主に小児の体幹や四肢に粟粒大~数mmまでの光沢のあるイボができて、徐々に数が増えてきます。プールなどで肌の接触により感染しますので、最初は子供同士で触れ合う場所に水イボはできます。その後は患児がイボを触った手で他の場所を引っ掻くなどして、皮膚の表面で感染は拡がって行きます。

○放置するとどうなる?
皮膚の表面で感染が拡がって、徐々にイボの数は増え、ひとつひとつも大きくなってきますが、やがて体にウイルスに対する免疫が成立すると自然に治癒します。通常は半年~1年で自然に治ってしまいますので(患児の95%は1年以内に自然治癒)、特に治療をしないで様子を見ても良い病気です。
しかし、免疫が成立するまでの間はイボが増加し続けますので、施設によっては患児がプールに入ることを禁止されてしまう場合があります。また、肌の弱いお子さん(特にアトピ―性皮膚炎のある子供)の場合、極端にたくさんの水イボができて難治化する場合もあります。さらに、水イボに痒みを生じ、周辺の皮膚が湿疹化することもあります。
 このように様々な問題を生じる時には、必要に応じて治療を行います。

○水イボが治るまでプールは禁止?
水イボは肌と肌の接触や、ウイルスの付着したタオルなどを介して感染しますが、感染力はけっして強くはありません。ましてや、プールの水で感染することは考えられません。したがって、水イボができている部位を他の児童ができるだけ触らないことや、タオルを共用しないことに注意をすれば、原則としてプールを禁止する必要はありません。ビート板が感染源として疑われるケースもありますが、患児が使用後に良く洗えば問題はありません。
 しかし、まだ保育園や幼稚園、スイミングスクールなどへの啓蒙活動が十分でないために水イボのためにプールが禁止されてしまうことが現実としてあります。そのような場合にも、水イボが治癒するのを待っていると半年以上もプールに入れなくなってしまいますし、プールに入らなくても普段の園での活動で感染することの方が多いと考えられますから、プールだけを禁止するのは感染予防の効果からも意味のないことと考えられます。。

○水イボの治療法
ピンセットによる軟属腫摘除
専用のピンセットで水イボをひとつひとつ摘み取る方法です。水イボを取ることに関しては確実な方法ですが、痛みを伴うため、小さなお子様の治療には適しません。イボが小さすぎるとピンセットでは取れない場合もあります。
硝酸銀ペースト法
硝酸銀という薬品を付けて乾かすだけですので、ほとんど痛みはありません。小さなお子様でも治療を嫌がることは少ないようです。小さなイボには効果的ですが、大きなイボの場合は繰り返し治療しないと取れません。また、一度にたくさんのイボに処置を行うとかゆみ(あるいはチクチクした痛み)を生じます。硝酸銀が周囲の皮膚に付着すると、周りが傷になってしまう事がありますので、動いてしまうお子様には難しいでしょう。治療後に色素沈着(茶色くシミのようになります)を生じる事がありますが、1~2ヶ月で自然に消えてしまいます。
その他
グルタールアルデヒドという薬品を自宅で毎日塗布する治療法や、液体窒素による凍結療法、スピール膏を貼る治療法、抗ウイルス薬(ビダラビン)を塗る治療法、漢方薬(ヨクイニン)の内服などもありますが、上の二つの方法に比較すると一般的ではありません。
 上の二つを含めて、これらの治療法の多くはできてしまったイボを取る方法です。身体の水いぼのうち目に見える大きな物は全体のほんの一部です。大きいものを取っても目に見えない小さな水イボが次々と約1ヶ月間の潜伏期間の後に大きくなってきます。つまり、体に免疫ができるまでは、治療してもしつこく出来てきます。治療の目的は、水イボが自然治癒するまでの間患児が社会生活を制限されないですむように、水イボの数を減らすことと御理解下さい。
水イボ周囲の湿疹の治療
水イボの周囲が湿疹化した場合には、保湿外用剤(プロペトなど)や非ステロイド系抗炎症剤を使用します。痒みが強いと、引っ掻くことで皮膚が傷つき、水イボが増え、さらに痒みも増すという悪循環を生じてしまうので、かゆみ止めの飲み薬を処方することもあります。ステロイドを含有した外用剤は、水イボが増えてしまう可能性がありますので、できるだけ使用しない方が良いでしょう。また赤くなっている水いぼは細菌感染を起こしていることが多いのでとびひにならないようにイソジンで消毒しましょう。

○日常生活での注意事項
感染防止
水イボの感染力は弱いのですが、家庭内や園内の子ども同士では高率に感染を生じます。感染防止のためには、タオルを共用しないことや、別々に入浴するなどの方法が考えられますが、子ども同士でふざけ合ったりしているのを禁止することはできませんので、完全に感染を防止することは困難です。
スキンケア
乾燥肌のお子さんやアトピ―性皮膚炎のお子さんは水イボの感染を生じやすいので、肌が乾燥しないように保湿のスキンケアが重要です。乾燥した肌は傷など無いように見えても、皮膚のバリヤー機能が低下しています。スキンケアをおろそかにすると、感染が拡大して極端に水イボがたくさんできたり、難治化してしまうことがあります。乾燥肌の部分には普段から保湿効果のあるクリームや乳液でお手入れをしましょう。
もう一つスキンケアで重要なことは、肌の清潔を保ち細菌感染を防ぐことです。不潔な手で水イボを引っ掻いてしまうと、細菌感染を生じてイボの部分が赤く腫れてしまうことがあります。この場合はとびひにならないようにイソジンで消毒しましょう。